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ここに出てくる子供は生意気だよ。

  • 2009/05/26(火) 20:15:56

<相も変わらず緊迫感がない斬り合いの絵、蓬田やすひろさんって絵は下手?>

本sawadashinsyoban

澤田ふじ子著『神書板刻(しんしょばんこく)』、祇園社神灯事件簿シリーズ第五巻。
どうもこれでこのシリーズは最後になるらしい。

奇妙な刺客
夜の腕
真葛ケ原の決闘
お火役凶状
神書板刻


前回の『雪山冥府図』から続けて、久々の澤田ふじ子さんの作品だったが、私はこのシリーズがあまり好みでなかったことを思い出した。

主人公の出自が問題なのか、偉そうな口をたたくし、会話の一つ一つが相手の言葉に口を挟むようないらつきを感じている。
明らかにそれを感じるのは、この主人公だけでなく、ここに出てくる小童(こわっぱ)どもにも同様に感じる。素直なまっすぐな子供らしさがない。

澤田ふじ子さん自身も凄い人ではあるが、案外に小生意気で一本気、言葉は悪いが偉そうな人かもしれないと思うようになった。多作な作家であるだけに、その才能と努力は恐れ入るが、今回の二作はちょっとそんなことを感じてしまった。

新作が出てももういいかって感じもするし、食傷したようでもある。
歴史の重みに潰されるようでもあり、なにぶん色気がなさ過ぎるかな。

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久々に最新作で楽しませていただいた。

  • 2009/05/22(金) 20:45:38

<村上豊さんの表紙絵とは思えない出来映え>

本sawadasetsuzan

澤田ふじ子著『雪山冥府図』。「土御門家陰陽事件簿」シリーズの第五巻、比較的最新刊であります。
久々に澤田ふじ子さんの京都弁?であろう話し言葉で書かれた作品を読んだ。
ある時期このお方の作品ばかりを読み続けたら、自分の話し言葉がこの本の調子に似てきて驚いたことがあります。読み続けているときには、なんだか癖になる感じの言葉であり、ある時から煩わしい、耳障りになる言葉であるらしい。
あいうえお順に本を探しているものだから、このような目に遭うことがある。

でもちょっと久しぶりに新刊を目にし、またあの麻薬のような世界へ浸ろうかなと感じた私は、やはり決してこのかあ他の作品が嫌いではなかったのだ。
あまりに作品群が多く、しかも作家さんの自己主張の強いお方であるだけにアクがある。
この部分が案外たまらないのかもしれない。

土蔵の妖剣
丑刻(うしのこく)の夜
祈占(きせん)からの賊
のぞいた顔
雪山冥府図(せつざんめいふず)
喪神(そうしん)


六編の小品はどれをとっても面白い。上手に書かれている。

今回感心したのは、主人公は陰陽頭土御門家に仕える譜代衆十二家の一人笠松平九郎なのだが、今回は彼よりもその上役、土御門家家司頭(けいしがしら)赤沼頼兼の意外なほどの活躍なのであります。
普段大人しめに出てきて、公家さんのような男のイメージであった赤沼頼兼がびっくりするほど之達人として登場することが本当に驚かされる。

ちょっとしたミステリーを読んでいる気分になる時代物。

  • 2009/05/16(土) 20:40:55

<満月の夜の海が、蓬田やすひろさん独自の青い基調で生かされている>

本hiraiwakobanshonin

平岩弓枝著『小判商人』、「御宿かわせみ」シリーズの34番目のものです。
この長い長いシリーズは、あまりにも有名になってますし、TVでもドラマ化されていますので知らないことはあまりないくらいの名作品です。
登場人物も少し年をとってきていますし、子供たちの成長も著しい。

でも困ったものですなあ。
こんなに名物のTVドラマになると、あまり見てはいない私まで小説の主人公らが、TVの俳優に重なってしまいます。
最初の頃は気にもならなかったし、自分なりのイメージも持っていたつもりですが、今では橋之助と高島礼子がちらついて困ります。

推理小説とまではいかなくても、ちょっとしたミステリーで読みやすく楽しめる本です。

作家平岩弓枝さんがお上手だなあと感心するところが何カ所もある。
これくらいのベテラン作家さんになると、さすがにさりげなくしかも目立たないけれどなるほどと思わせる表現が生きています。
思いがけない耳学問をしたと、嘉助は笑っている。
ここに書かれた言葉には深い意味と含蓄とがある。

嘉助という「御宿かわせみ」の番頭が、長い台詞で秩父の水が人形作りにとても良いことを述べているくだりにこの行がかぶせてある。。
この台詞の前の数行から、当時の人形作りの歴史や背景が披瀝されているのだが、実に上手に会話で紹介されている。それを嘉助は他人から聞いて、自分の勉強になったと話している。
作家さんが膨大な資料を調べたり、実地検分したであろういろいろな知識を、さりげなく、しかも番頭さんの聞きかじりとして読者に紹介するのはこれはうまい手です。
それでいて、嘉助の人柄を表現するかのように、良い耳学問だと言わせている謙虚さが美しい。

読んでいて気持ちがふさいでくる本。

  • 2009/05/12(火) 08:31:27

<装幀辰巳四郎、装画村上豊コンビ、落ち着きとたしなみを感じる本>

本fujisawahashiriame
藤沢周平著『驟り雨(はしりあめ)』、藤沢周平珠玉選9巻。
この九巻目は、市井小説集となっている。

しゅう‐う【驟雨】
急にどっと降りだして、しばらくするとやんでしまう雨。にわか雨。夕立。


驟雨という表現はよく聞くが、これを「驟り雨(はしりあめ)」と書き改めたのは、やはり藤沢先生の上手であろうか。

藤沢周平珠玉選1 逆軍の旗
藤沢周平珠玉選2 神隠し
藤沢周平珠玉選3 喜多川歌麿女絵草紙
藤沢周平珠玉選5 冤罪
藤沢周平珠玉選6 逆軍の旗
藤沢周平珠玉選8 時雨みち
藤沢周平珠玉選9 驟り雨


「市井小説集」だけあって、他の八作品とは趣を異にするが、全体に暗い。
ストーリーテラーとしての力量が高いだけに、些細な話から立派な短編に仕上げられ、読む方にも面白く伝わるし、またぐいぐいと引きつけられる。

ただ謂わばそれだけです。
あまり読み深めていくと気分がめいる。
作者自身が鬱屈している時期の作品もあるのか、あるいは現代における自分の境遇との違いなのか希望がなさ過ぎる。とても暗い。
人と人とのつながりや、心のやりとりがこんなだったらやりきれない。

あまりためにもならないし、読まなければ読まなくてもいい作品だろう。
ただためになるだけの作品がいい作品ではないし、こんなものでも好きな人は好きなのだろう。

寝転びながら読んだ本。・・・その②

  • 2009/05/07(木) 15:28:59

<全然味気ない新書版の表紙>

本yumemakurakisouka

夢枕貘著『夢枕貘の奇想家列伝』。
不覚にも風邪を引いてしまって寝る羽目になったまま、二日目がきた。寝てばかりいると体が痛い。昨日一日は、好きな諸田玲子さんの新刊を読んでしまったので楽しみがない。
あと手元になる本といえば、この『夢枕貘の奇想家列伝』だけなので、仕方なく読んだ。
仕方なくとは時代小説ではないということで、もともとストーリーのない本はあまり読まないのですよ。

そもそも夢枕貘さんなどは、時代小説でも平安期の陰陽師の話を得意とする方で、私の時代とは合わない。この本に出てくる奇想家という方々は玄奘三蔵、空海、安倍晴明、阿倍仲麻呂、河口慧海、シナン、平賀源内など、時代も生まれも様々で、江戸時代は平賀源内くらいしかでてこない。

この本はそもそもNHK「知るを楽しむ この人とこの世界」(2005年8・9月)という番組でのテキストを加筆・修正した本であるらしい。

私が興味があって読んでいるのは、河口慧海が書かれているからだ。
小学校であったか、中学校であったか教科書に、この河口慧海が出てくる。宗教界の偉人であるのだが、異人でもあり、不屈不倒の人でもあった。
その後、たくさんの人にこの名前の人物を話題に挙げたが、知っている人に出くわさなかった。
この人を知っている人が周りにはいなくて、私も忘れていたのだが、この本に出会ってこの人物が実在の人だと安心をした。

この夢枕貘さんが言う奇想家という人々は、とても興味深い。
ということは、取りも直さず夢枕貘さん自身も奇想家であるということだろう。

寝転びながら読んだ本。

  • 2009/05/06(水) 14:41:19

<村上豊さんの表紙絵。武家娘の後ろ姿に色気とほのかな恋心が・・・。>

本morotaaiaizaka

諸田玲子著『狸穴あいあい坂』。
不覚にも風邪を引いてしまって寝る羽目になった。
ぼんやり寝転がって読むには、とてもいい本だった。この作家、諸田玲子さんのお書きになる時代小説は先般も書いたが、優しい柔らかさが特徴です。
おおよそ荒々しさや、とげとげしさといった人間の浅ましい部分は書かれていない。
何とも微笑ましい、ほのぼのとしたところが魅力でしょう。
女性の作家さんらしく、敏感に季節の移ろいを感じさせたり、着るものや髪型までの細やかな表現があったりで大好きであります。

ムジナが事件の発端か、恋の縁結びか。

かつて火盗改与力として豪腕をふるった祖父と暮らす結寿(ゆず)。
麻布狸穴界隈で起きる不思議な出来事。
恋と事件の連作小説。


こんな帯に書かれた言葉も、何となく色気の匂いがするピンクの帯でした。

ムジナのしっぽ
涙雨
割れ鍋のふた
ぐずり心中
遠花火
ミミズかオケラか
恋心
春の兆し

以上の八編のお話はいずれもちょっとした事件がらみで書かれている。火盗改、しかも与力という身分の高いところの孫娘と、仕事柄相対する町方役人八丁堀の隠密同心との恋の行方と平行して物語は進んでいく。

ぽっと熱がある浮いた状態で寝ていると、恋はほのぼのしてより楽し。

時代小説のホームドラマのようなもの。

  • 2009/05/05(火) 21:01:36

<目出度い婚礼の式が華やかな色合いで描かれている>

本morotasudachi

諸田玲子著『巣立ち』、「お鳥見女房」シリーズの第五巻。

お鳥見女房
螢の行方
鷹姫さま
狐狸の恋
巣立ち


この本を読んで感じるのは、とても暖かいホームドラマを見ているような気になることだ。
かつてTVドラマの創世記には、相争わぬほのぼのとした暖かい家族団らんが描かれたいました。首長(あるじ殿)がでんと腰を据え、優しく包容力のある肝っ玉かあさんが、家族を世話していました。思いやりと尊敬、お互いの立場をよく理解し合った、素晴らしい人間関係がありました。
理想といえば理想でしょうが、相手を傷つけたり、陥れたり、裏切ったりという昨今の醜いドラマはなかったような気がします。

この本は封建制度の真っ只中、女性の立場も危うい時代にありながら、やはり家庭の中では重要な存在である主人公の生き様が美しい。
読んでいてさわやかですし、思いやりと温かさが伝わります。主人公の人物の魅力で語られる物語には、安心して読める心やすさを感じます。

第一話 ぎぎゅう
第二話 巣立ち
第三話 佳き日
第四話 お犬騒ぎ
第五話 蛹のままで
第六話 安産祈願
第七話 剛の者


七話で“剛の者”は死んでしまうお話はちょっと辛い。


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