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やっぱりチャックは凄いという、伊丹一三さんの本

  • 2008/04/09(水) 19:36:40

<裏表紙にはくわえ煙草の写真に哀愁を漂わす伊丹一三氏>
本itami02

昨日のチャールトン・ヘストンさんの訃報に接した時、一番に思いついたのが、この本伊丹一三著『ヨーロッパ退屈日記』でした。
昨日にページに書かれた表紙は、1969年当時ほとんどデザイナーでもあられた伊丹一三氏が書かれたイラストです。ブリックの蝙蝠傘、ダンヒルのライター、ペッカリーの革手袋、ペタンクの球・・・全て素晴らしい出来でありまして今でも感心しています。
裏表紙には、彼自身がくわえ煙草でアンニュイな風貌で写っています。

この本を読んでニヤッと笑ったら,あなたは本格派で,しかもちょっと変なヒトです


この文の区切りは句点ではなく、カンマなのです。

この本は伊丹一三さんであった頃のものですので,伊丹一三という名前で通します。

で、チャールトン・ヘストンさんのお話ですが、この本の中でチャックという名前でお仲間から呼ばれていたようで、伊丹さんもチャックと書いています。
『北京の五十五日』という大作映画のセットで顔を合わせたお二人は、とても友好的にお付き合いされ、いろんなエピソードをここの披瀝されています。
その中でとても印象的な事柄として書かれた“ロンドンの乗馬靴”を要約すると、とてもチャールトン・ヘストンさんの素晴らしさが伺えます。本来、要約など出来にくい、いやむしろしてはいけないことだとは思うのですが,長い文ので・・・・お許しを。

チャールトン・ヘストンさんがロンドンの町、ボンド・ストリート辺りを散歩しておりました。質の良さ、形の格調の高さ、由緒正しさという点からも、この付近のお店は最高級なのだそうです。
彼はふと目についた乗馬靴が飾られたお店を見つけた。飾り窓の中には、馬の胴体の模型が一つ、しかもちゃんと鞍も鐙もつけて芝生の中に据えてある。その横に、
とても素晴らしい乗馬靴が並んでおいてある。

(ここで英国人店員の慇懃なる対応が事細かに書いてあります。)
英国人的なお客様に対する挨拶の仕方であるとか、乗馬靴を買おうとするチャックへの質問等が面白い。
「乗馬靴を注文したいと思うのだが。」
「乗馬靴をご注文になりたい、なるほど、そして、乗馬靴は一体何にお使いになりますのでしょうか。」
「何に使うって、つまり、まあ、馬に乗る時に履こうかと思っているわけだが。」
「なるほど、それは大変結構だと存じます。ところで、馬と申しますと、どんな種類の馬にお乗りになるご予定でいらっしゃいますか。」
「それは、まあ、商売柄、いろんな馬に乗ることになると思うが。」
「いろいろな馬でございますね。なるほど、なるほど。」
と永遠に質問が続いた上に、やっと寸法をとって貰う事が出来、しかも脚のレントゲンまでとられる始末であった。

(ここでチャックのその時に話を思い出して応えている)
「いや、その時は冷や汗をかいたよ。なにしろ、ロンドンで乗馬靴を買うというのは、ぼくの若いころころからの夢だったものでちょっとあがっていたのかもしれない。昔、ハリウッドで、西部劇の端役なんかやって貧乏暮らししている頃から、いつかロンドンで乗馬靴を買おうって、よく女房と話しあったもんだ。」

その後長いこと待って,半年もたった頃に乗馬靴が送られてきた。
中に入っている木型がどうしても抜けない。随分工夫したがいっこうに外れず、今でもそのままにして保存がしてあるという。

「多分、あれは乗馬靴ではなくて、木型を保存するための革ケースだったかも知れんね」

最期に・・・・
そこで我々は顔を見あわせて、チャックはいい男だ、背広を着ると全く似合わないが、あんなにいいおとこはいない、と口々にいった。


私はこの話を中学生の時代に読んだわけで、映画の好きな多感な少年は、そのままチャールトン・ヘストンさんの大ファンの一人となったわけです。
でも要約といった割には、丸写しの部分もあって下手ですね。
この本は“会話体表記文章”の名人であられた伊丹一三さんの見事な会話文が生かされています。
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この記事に対するコメント

倫敦の乗馬靴

拝見させていただきました。
いやいや、傑作ですね。チャールトン・へストン氏の
ロンドンの靴屋のエピソード。伊丹一三氏(どうも僕の
中のでは十三のイメージが弱くて一三になってしまいます)
のユニークかつ鋭さの中にあるややユーモラスな観察眼には
脱帽です。

「木型を保存するための皮ケース」と言いながら、
両手を広げてギブアップ気味に話すチャールトン・ヘストン氏
の困ったような表情が想像できますね。

中学生の時に、この本をお読みになられてそのままへストン氏
のファンになられたのには驚かされます。多感な映画少年が
伊丹ワールドに引っ張り込まれ、ジェントルマンシップの道を
歩まれて来たのでしょうか。とすれば「ヨーロッパ退屈日記」は
罪な本ということになります。

たしかに、帰国直後の伊丹氏はかなり新鮮でありました。
ペタンクの楽しみ方、トレンチコートの着方などなどウーム、
と唸らせられて刺激を受けたものです。

「北京の55日」では日本人の軍人を演じておられましたが
デビッド・ニーヴンに映画の中で問いかけられるシーンがあり
その時、彼の台詞が’’Well, I’m thinking・・・・’’という
出だしで、この時THINKを現在分詞で答えていたのが、
すごく印象的でして今でも新鮮に記憶に残っております。
美人のエバ・ガードナーも出演しておりました。「義和団
事件」がテーマではなかったか、と。

へストン氏はロンドン滞在中には、町中にある「エスカルゴ」
相当の公共施設なぞはご利用されなかったのでしょうな、
もちろん。夏目漱石なら倫敦の頃に一度くらい話の種に
使われているかも知れません。 脱線しました。

「本格派」かどうかは解りかねますが、「ちょっと変なヒト」
の部類に属していると「自負」しております。

お邪魔いたしました。








  • 投稿者: nnakazawa
  • 2008/04/09(水) 22:53:35
  • [編集]

わざわざお呼びして申し訳ありません

nnakazawa様、誠にありがとうございました。
多分、このお話だけでも、チャールトン・ヘストンさんと伊丹十三さんの魅力がおわかりになると感じていました。
またその数少ないお一人ではないかとも思っています。

時折またそちらを覗かせて下さいませ。

  • 投稿者: 光ちゃん
  • 2008/04/10(木) 18:59:21
  • [編集]

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