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大なり小なり、知識自慢はあるけれど・・・。 

  • 2008/05/22(木) 20:52:49

<さっぱりした文字だけのデザインの表紙>
本satomasamisikujiri01

佐藤雅美著『縮尻鏡三郎』上巻。
ふりがなが「しくじり・きょうざぶろう」とありますので、“縮尻”を“しくじり”と読ませるところが味噌。
上下二巻ものですが、連続長編小説というわけではないので、二冊を読まなければいけないと言うこともない。上巻になぜ“縮尻”と呼ばれるようになったかが書かれているので、一応上巻から読むのが良いだろう。

平成11年に中村雅俊さんの主演で、NHKから金曜時代劇「しくじり鏡三郎」になって放送されているようだ。
実際にはあまりTVドラマを見ない私は知らなかったのだが、出版社がこの本の場合“NHK出版”になっているので、その関連でもしかしたらと調べてみたところ判った。

時代小説作家という方々は、大なり小なりご自分の知識自慢をされる。ほとんどの作家さんが時代考察や時代背景、歴史的整合性、人々の暮らし等々数え切れないほどの大変なご苦労と、努力を重ねられて、一冊の本をものになさっておられる。
我々読むだけの凡人とは、おおむね人間そのものの力量が違う。
ただそういった努力を本の中に表すのには、やはり自慢したくなる事もあるのではなかろうか。知ったかぶりはあまり感心しないが、そういう得られた知識が各所で、きらっと光る本ていうものは、読んでいて面白いし、読むだけの凡人の私にも身になる気がする。
佐藤雅美さんのように、その該博なる知識と勉強量の豊富さを感じさせすぎる作家もまた貴重だ。
短編形式で八編の物語が語られ、ものの見事に解決される。

春の浜風
思案投げ首
おしまの復讐
二人きりの納涼
象牙の印籠
逃げだした殿の花嫁
耐える女
甚兵衛さんの手妻


話題が市井の事柄から、殿様の事情、貧乏御家人や情けない旗本までと非常に幅が広い。一般に一冊の本の中には混在しにくいテーマが多いが、うまくまとめられているし、意外な展開や解決法が愉快です。
中に出てくる恋愛関係や、親子関係、仕事上の上下関係なども、案外とさらっと乾いているのが気持ちいい。
最後の数ページで一挙に解決するところは、澤田ふじ子さんのシリーズにもにている。

難解な事件があっさりと解決されることについて、面白い会話がある。

主人公がたまたま解決できたにすぎない事件と言い訳することに、反論して、
「そのたまたまに常人は巡り合わない。貴殿はもって生まれたなにかその、なんというか、難問を解決する運というものを持っておられるのではないかと。いえ、これは石見守が申したことでござる」
「それにまた貴殿は市井のことにもあれこれ通じておられる。(後略)」


今後もこの作家様の膨大なる知識の雨あられを頂戴しよう。
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