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感無量の読後感

  • 2008/08/07(木) 09:38:59

<座敷牢の内外がよく分かる表紙絵>
本sawadaburainoeshi
澤田ふじ子著『無頼の絵師』、「公事宿事件書留帳」の第十一巻。
この本で、一応「公事宿事件書留帳」シリーズは読み終えたことになる。

闇の掟
木戸の椿
拷問蔵
奈落の水
背中の髑髏
ひとでなし
にたり地蔵
恵比寿町火事
悪い棺
釈迦の女
無頼の絵師
比丘尼茶碗
雨女
世間の辻
女衒の供養


澤田ふじ子さんの著作は、以上の十五冊とそれ以外にも「祇園社神灯事件簿」シリーズが五冊。「足引き寺閻魔帳」シリーズが八冊。「禁裏御付武士事件簿」シリーズが三冊。「高瀬川女船歌」シリーズが四冊。「土御門家・陰陽事件簿」シリーズが四冊。「京都市井図絵」シリーズが二冊。「真贋控帳」シリーズが三冊。「酒解神社・神灯日記」シリーズが一冊。
それ以外の単行本もあまたある大著作群であります。
一つのしかも長いシリーズを読破したという満足感が個人的には嬉しい。

公事宿の居候・田村菊太郎が明敏な頭脳と器量を生かし、鮮やかに事件を解決する、傑作時代小説シリーズ!
一介の扇絵師が起こした贋作騒動の驚くべき結末・・・・。
天稟に恵まれながら世に出ようとしない扇絵師の胸中に、
菊太郎と源十郎が迫る表題作をはじめ全六編を収録。


帯に書かれているほどには、驚くべき結末でもなければ、凄いことでもない。つまりこのシリーズを読み慣れてくると、結末の展開はそこそこに良くできてはいるが、“驚くべき結末”ではない。
このように過剰に書かれることを作家さんは、特に澤田ふじ子さんは望まれてはいないような気がする。
確かに結末の展開は、唖然とすることが多い。ほぼ最後の一ページであったり、時には数行であったりするからでありますが、本当の結末は読者がつけることでありましょう。
作者は示唆をする程度に上手に終わらせます。これも魅力です。
次の編に読み進むうちにも、前の編の最後の結末を、頭のどこかで考え直している自分を感じます。

右衛門七の腕
怪しげな奴
無頼の絵師
薬師のくれた赤ん坊
買うて候えども
穴の狢


六編のどの小説にも結末は暖かい。話のネタは、現在に起こっている現実の事件がヒントの場合が多い。話を読んでいると、もしやあの事件とうなずくこともある。
ただ肝心なのは、作家・澤田ふじ子さんの血が通っているので、現実の事件よりかは納得できる勘定で終わる。そして気持ちは高揚する。

いつも“あとがき”が素晴らしいことも再三にわたって書いてきました。

近頃、日本を取り囲む世界の状況には、憂慮すべき事象が目についてならない。


とおっしゃった後に、見事な回答が書かれていてこちらの方が“驚くべき結末”と言わざるを得ない。

日本の政治家や外交官は、なんと外交下手で芸がなく、わが国の真意を相手国に伝えるのに、拙(つたな)い方法しかとれないのかと切実に思わされる。
これは偏(ひとえ)に、政治家や外交官たちの実社会における生活経験が、不足しているからだろう。さらに、徒(いたずら)なエリート意識を持って育ってきた生活環境や、<国家>というものがいかにあるべきかの認識が、基本的に希薄だからに違いなかろう。


日本ではいま貧富の差が、確実に拡大している。
企業は利益を拡大するため、フリーターを含め派遣社員、契約社員、パートなど、さまざまな雇用形態を作り出し、人件費を削減している。そうして人々の暮らしをおびやかし、社会不安を増大させている。貧困が事件を誘発させるのは、当然の帰結だ。


私はこの“あとがき”の部分だけを集めた本を出版して欲しい。
必ずや買うであろうし、あまり時間を隔ててしまっては、現実のニュースとのタイムラグが面白味を欠くだろうから・・・・。
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