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武士階級の愚かしさを知る参考書。・・・その②

  • 2008/08/12(火) 08:46:11

佐藤雅美著『槍持ち佐五平の首』
作家さんがどのような意図で作品を書かれているのかはよく分からないのだけれど、私のように“武士階級の愚かしさを知る”為の作品とは考えていないでしょう。
でも、この本のどの章をとっても、武士であったり、殿様であったりする人々、つまりは江戸時代の日本の頂点に立つ人々がいかに愚かしく頑迷であったことを認識させられます。
このような人種に日本が統治され、庶民があえいでいたかは。想像にあまりあるものがあります。

“愚かしく頑迷であること”は、現在の政治家を見ても大差はないのでしょうが、意地とかメンツとかが大事であることをも、現今とさして変わらないみたいです。
でも、庶民はまだ圧制下の元にはいないはずですから、若干ましでありましょう。

表題の「槍持ち佐五平の首」などは、他藩との小競り合いのため、意地の張り合いのために、臨時雇いの職員が首を刎ねられる(文字通り首を切られることで、失職する現在とは意味合いが違う)という残酷な話で、他にもそれ相応の下らぬ意地の張り合いや、今より露骨な職場にいじめ、武士階級内での身分格差差別など酷い話ばかりであります。

愚かな殿様などになると、農民、庶民が圧政に苦しもうがお構いなしに、自分だけ贅沢と華美に溺れ、治世を顧みることなく、意味もない訳の分からぬ見栄を張り続ける。
他人様を思いやり、自分を省みることさらさらなく、そのような暖かみを持つこと自体が、殿様の器ではないのだろうが、とても違和感をおぼえる。
またこのような愚物の殿様に諫言を与えるような誠の忠臣でもなく、常にへつらい媚びらっているような安寧だけを尤もとする高級官僚が存在する。これらの人々は、すべての物事の責任を全うせずに、下へ下へと順繰りに責任送りをするだけである。

恐るべしは、最後の章に出てくるたまたま見事な治世を試みる大名の話であります。
領民の暮らしの厳しさをよく理解し、倹約を実行し、藩政を改革し、そのうえ年貢の半減や借金の棒引きを実行に移す殿様がいる。主君が立派な政治を行えば、利権や甘い汁を吸えなくなる家老以下の高級官僚が困る。藩政に口出し過ぎる藩主とこの高級官僚側との対立は深まる。
そこでこの主君に女狂いを策動し、あげくは養子を勝手に準備した上で、座敷牢に押し込めてしまう。あちらこちら幕閣内に賄賂を贈り、裏工作を行い、この良君を殺してしまう。恐ろしいほどの高級官僚ら自身の保身のみに、知恵と金と力は使われ、領民はないがしろにされた悲しい武士の人間性を失った話である。

これは武士という我々が持つ、気高く、孤高とした立派な人間像とは意を異にする。
世に殿様と呼ばれる人種が少なくなったこの時代は、いい時代なのだろうな。
いつの世も変わらないと言う諦観と、自分がそうした人間にはならないという戒めには、とても役立つ立派な内容かもしれない。

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