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“お尋者”などと呼ばれたくはないが。

  • 2008/09/25(木) 20:16:40

<とぼけた味わいの村上豊さんの表紙絵は主人公・紋蔵だろう>
本satootazunemono
佐藤雅美著『お尋者』、「物書同心居眠り紋蔵」シリーズの第四弾。
いつも仕事中に居眠りをしている紋蔵が、案外と剣に強い男だと印象づけられるシーンがある。このあたりは「縮尻鏡三郎」にもよく似ている。

ところでこの本で言うところの“お尋者”だが、西部劇での「WANTED」や時代劇での似顔絵に書かれた悪人の公告とは違う意味であるようだ。
徳川八代将軍吉宗が布告したと言われる法律『御定書』八十二の「科人欠落尋之事(とがにんかけおちたずねのこと)」の条項が書かれて説明があるが、長いので割愛。

ところで又ところで、“割愛”とはなんと残酷な表現なのであろうかね?字面だけ見ると、二番の意味の方が強いように感じるけれど・・・・。

かつ‐あい【割愛】
1 惜しいと思うものを、思いきって捨てたり、手放したりすること。「紙数の都合で―した作品も多い」
2 愛着の気持ちを断ち切ること。恩愛や煩悩(ぼんのう)を捨て去ること。

どちらかというとこの著者・佐藤雅美の本には癖がある。読みやすいリズムにはかけているし、流れを逸脱した参考資料が適度にあって、なるほどと感心しなくてはいけない。
私自身は存外、このタイプが好きであるけれど、さりげなくという感じでは語られず、しっかりと講義を聴かなければ前に進めない。ちょっと古めかしい堅物の教授の話のようで面白い。

次の文章などは特異な例ではありますが、何度も読み返さなければ前に進めない。読書力がないといえばそれまでだけれど、なんだか普通の簡単な表現なのに他とは違っている。
俗に駆け込み寺と呼ばれていた鎌倉東慶寺について書かれた下りであります。

後醍醐天皇の皇女が、足利尊氏の弟直義(ただよし)に殺された弟、護良親王(もりながしんのう)の菩提を弔うために、ここ東慶寺に入って五代目の尼宮になったところから、東慶寺は「御所」といわれるようになった。


つらつら考えながら読み進んでいると、こうしたことに引っかかる。誰が誰なのかといった簡単なことが分からなくなる表現が多い。
ざ~っと読ませない工夫なのかもしれない。

まあ聞け、雛太夫
越後屋呉服物廻し通帳
お乳の女
乗り逃げ
お尋者
三行半
明石橋組合辻番
左遷の噂


八つの小編はどれも一癖ありそうな愉快な小題がついていて面白かった。

ついでにだけれど“三行半(みくだりはん)”と呼ばれる離縁状について。
これは男からしか離縁の申し渡しが出来なかった差別の時代の大切な書類です。これはないと女の方は、離縁も出来ず、当然次の恋愛もかなわなかった。仮に離縁をされていない男女の不義密通は御法度ですので、これは双方死罪です。
そこで・・・、

「其元儀、願いの通り離縁相遣し候上は、已後何方へ縁付き候とも、構い申す間敷く候。入念一札、如件」


この本文中にも、以上の文例が出てきます。これを三行と半に紙に書くという約束事です。
もし無筆の人だったら、筆で棒線を三本と半分書いても役に立つということで、“三行半(みくだりはん)”と呼ばれているわけですな。

今でこそこんな物は有りはしませんが、反対に叩き出される亭主の方が多いのかも・・・。
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