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女性作家には似合わない作品だけれど・・・。

  • 2009/03/03(火) 21:52:16

<原田維夫さんの版画による表紙絵、版木を彫るという内容に共通点があります>

本uematsutyozan

植松三十里著『彫残二人(ちょうざんふたり)』
難しい題目でありまして、話の後半に“「彫残」とは「いたみやぶれる」という意味だ。”とありますが、本を読まないとこの真義は分からない言葉でしょう。
テーマに一貫性はないけれど、それなりの個性あふれる作品を書かれている作家さんですね。過去に下記の三作品を読みましたが、いずれも面白かった。

黍の花ゆれる
桑港にて
女たちの江戸開城


他に『大奥開城』『天璋院と和宮』などあるので、これらを読むとつながりはあるのかも知れない。

前回読んだ樋口有介著『船宿たき川捕物暦』とは、時代背景がほぼ同じ時期でありますので、白河藩主で老中・松平定信が登場します。ただ決定的に違うのが『船宿たき川捕物暦』では、比較的好人物に描かれていた定信は“寛政の改革”を執り行う中で、この本の主人公・林子平に豪圧をかける非道い人間として登場する。

そもそも“処士横断の禁”と称する施策は、幕府に対する政治批判を禁止し、蘭学を公的機関から徹底廃止し、蘭学者を公職から追放する後ろ向きの保守政治であります。
時代に先駆け先見性の富んだ林子平のような人物は、生まれてくることが早すぎたのでありましょう。
その彼の半生を共に生きた彫り師・お槇との逃避行は悲劇でありまして、最後のところは泣かずにはいられない悲しい物語なのであります。
世が世であればという思いに駆られて、泣きながら読むことでした。このように時代に受け入れられなかった立派な人物が過去に沢山の偉業を残しておられます。
志半ばで亡くなっていく尊い命とその強い意志の力を受け止めて感銘しました。

この本でちょっとばかり残念に感じたのは、時間と場所の観念が入り込みが多く上手に書けていないことです。特に前半に数回江戸に上る話は、うまくその状況がつかめません。
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