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真剣に読まされた本でした、乙川優三郎著「霧の橋」

  • 2006/05/18(木) 15:36:01

<本のタイトルのとおりに、霧に煙る橋の上が実に淡き色調で描かれている。菊地信義さんの表紙は、小さなサムネールだと分からないかも・・・>
20060518153255.jpg

この本の帯には、下記のことが書かれていて絶賛されている。

時代小説大賞第七回受賞作
迫りくる黒い陰謀の影!
刀を捨て商人になった男の身に蘇る武士魂。
選考委員会満票の秀作。


七編のサブタイトルで分けられているのだけれど、最初の項の「香魚(あゆ)」から引き込まれていた。「鮎」ではなく、「香魚」と書かれた繊細な川魚が、不気味に思えてくるほどに、話の中から唐突に序章はやってきて、さあーっと引いていく感じだ。
途中にいろいろな困難、敵討ちにまつわる話や、武士を捨て紅を商う商人入り婿する原因となる事どもが、次々に展開されて飽くことなく読者を引き込んでいく。

最後に本題となった「霧の橋」の項へ来て、これが実に映画にでも表現したらいいような、実に絵的なシーンなのです。かなり濃い霧の中を、待ち合わせ場所に内緒で出かけて行く主人公と、待ち合わせる女性。二人の姿が淡く、お互いが見極めるのも困難な夜明け前の橋の上。提灯の明かりが届くか届かないかの距離で会話が始まり、長い時間の流れで、夜が明け、霧も晴れて、お互い気持ちすらも晴れて、お互いが分かれていく。晴れた霧の間の橋の上には、愛する妻が晴れ晴れとした気持ちで・・・

主人公が困難に立ち向かうときに、彼を支えるのは、彼の妻であり、そして彼の店のものなのですが、もう1人同業者の隠居・三右衛門がいます。彼が主人公に強くアドバイスをします。

「まずはあなたが忘れなくちゃいけない」
 とも三右衛門は言った。
「元お武家さまであることをね、ご自分では気付いていないのでしょうが、部屋に入る前に気配を窺う癖、入れば入ったで外の気配を窺う癖、左手で盃を取る癖、思ったことの半分も言わぬ癖、実よりも威武に頼る癖、こうして見ると、社屋さんは刀を帯びていないだけで未だにお武家さまでございますよ」


主人公に武士を捨てたのだから、早く立派な商人になりなさいと力を込めて助けてくれる大事な立派な助演者です。
痛快な読み物としても読めますね。

それからこの作家さん「乙川優三郎」さんは、「おとかわ」と読んで「おとがわ」と濁らないのですね。今日知りました。
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