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堅さはあるけれど、良き人情噺!

  • 2007/04/03(火) 08:38:43

<いつも見る華やかな浮世絵とは違う地味な絵>
20070403075715.jpg

琳派の町絵師・俵屋宗理の描く浮世絵。「小町図」とあるが、これが庶民とは思えない髪型に櫛笄をさし、比較的大きめの笊に大ぶりの蛤を乗せている。かなり細めの顔は、大痩せに痩せて今風とも感じられる。

澤田ふじ子著『花籠の櫛』、副題が「京都市井図絵」を読み終えました。この“市井(しせい)”と言う言葉は私には曲者でして、小さい頃に“市井(いちい)”さんという方がおられたので、今でも“市井(いちい)”と読んでしまう癖が直らない。

し‐せい【市井】
《古く、中国で、井戸のある所に人が多く集まり、市が立ったところから》人が多く集まり住む所。まち。ちまた。


帯に書かれた言葉は、深い意味がありそうです。

京都にくりひろげられる
生々流転の物語
ひたすらに日々を生きる庶民の愛と憎しみ、歓びと哀しみ-------
人間の連鎖と再生を描く感動の連作集!


この本の構成は下記の七話の短編集のようであります。

第一話 辛い関
第二話 花籠の櫛
第三話 扇の蓮
第四話 夜寒の釜
第五話 雪の鴉
第六話 色鏡因果茶屋
第七話 雨 月

どの一話を読んでも、それぞれに完結した、独立して読める短編でもありますが、人と人との繋がりがそれぞれの話に出てきて、関連していく見事さがあります。
第四話の「夜寒の釜」などは、実に感銘的な人情噺風であります。とても優しい、心映えの優れた市井の人が武士を救うのです。お互いが因縁ある関係にありながら、魂を救うのです。決して人間は身分や、職業の貴賤には関係なく、確かな人は確かに生きる術があるのだなあと感じる感動の一編です。

でも澤田ふじ子さんは泣かせることはありません。先日読んだ北原亜以子さんは、その点では泣かせ上手です。くだくだとは心情を吐露していく手法は、思わずシンクロしてなかされますが、澤田さんの御本は、歴史書のような史実の記述などが混じるせいか、“理”が先に立ち泣けません。でもとても良い本にはかわりません。

京都の庶民の暮らしも江戸庶民のそれも、変わるところはないはずなのに、何故か京都に暮らす人々には重みと仰々しさがありますね。
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