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タイトル通りに優しい時代小説

  • 2007/04/21(土) 07:39:06

<師岡とおる氏の淡彩の椿の絵が表紙を飾る>
20070421071944.jpg

本の中身はほとんど表紙で読み取れる。
この柔らかな色彩の椿の絵と、装幀を見れば、自ずとこの本が穏やかな時代小説であることが拝察される。
この作家について、

五十の声が聞こえそうになり、ふと四半世紀ぶりに小説を書き始める。


とある。
四半世紀前にも小説を書いていた方のような錯覚を憶える表現だ。

失踪し、その後殺されていた甥の定次郎を捜すことから物語は始まった。
主人公の立原周乃介は、武家の家に妾の子として三男に生まれる。出生から疎まれた生活をおくり、無頼となり、勘当され町屋で暮らす。
姉の子、定次郎が自分と似たような生き方をすることから、親近感を覚え可愛がってやる。
そんな甥の死は、謎から謎を呼び、主人公を遠く越後まで旅させる。

謎解き小説であるが、それ以外に主人公を取り巻く人間関係の暖かさと、優しさ、そしてそれらの人々の描かれ方が美しいこと。
悪者として出てくる柏木屋の主人、仁三郎の過去と、その三人の兄弟の来し方。その人間関係の見事なまでの活写。
軟らかい本なのに何故か心に響く、強い波長を感じさせる。

主人公の立原周乃介にも、甥の定次郎にも関係した美しい女、沙羅の立ち居振る舞いと、儚い死が涙させる。
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