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風変わりな商売を思いついた本

  • 2007/08/19(日) 07:05:36

<西のぼるさんの表紙絵は、印籠と櫛。古い絵柄がモダンに感じる>
20070819063522.jpg

宇江佐真理著『江戸夜咄草・聞き屋与平』

日暮れの両国広小路。商家の裏手口から男が現れる。
深編み笠に、着物の上には黒い被布。置き行灯をのせた机と腰掛け二つ。一つは男が使い、一つは客のためのもの。
男は黙って話を聞く。ただ聞くだけだが。が・・・。


「お話、聞きます」
思わず語ってしまう胸のうち。
誰かに聞いて欲しかったこの話。


大店の薬種屋を隠居して店を長男に譲った与平は退屈な日々を送る。
ふとしたことで他人の話を聞くだけなら、自分にもやれそうな気持ちから「聞き屋」と言う商売を始める。

聞き屋与平
どくだみ
雑踏
開運大勝利丸
とんとんとん
夜半の霜


上記六編からなるお話ですが、「江戸夜咄草」と銘打ってあるだけに、とてもいろいろな咄が聞ける。
作者の宇江佐真理さんは、お話上手な上に、実に人情味の厚い小説が得意な方だ。話の筋がこうなって欲しいと読者が望む以上に、とても心地良く、粋な計らいをされる方です。読んでいて愉しく、しかも読みやすい。

「聞き屋」はたんに話を聞くだけで、「辻占」のように何かを回答してくれる訳ではない。聞き賃もあってないようなもので、持ち合わせがなければいただかないときもある。相槌を上手に打って、話しやすい雰囲気を作り、聞いた話は秘密厳守する。
案外に出来そうで、出来ない珍しい商売ではないだろうか?

悩みを抱える人間のささやかな支えとなり、時には与平自身が手助けをする。三人の息子と、与平の妻との暖かく豊かな家庭が描き出され、生活の安定した余裕と、心豊かさに裏打ちされた故の道楽的仕事が出来るバックボーンが見えてくる。

人間を助けるのは、一番には金であろうが、やはり心豊かな人情であると信じられる一冊の本である。
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