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淡々と語られる不幸な人生が・・・

  • 2007/08/23(木) 20:54:22

<静かなたたずまいを見せる部屋の窓辺から見た風景>
20070823185734.jpg

平岩弓枝著『源太郎の初恋』
平岩弓枝さんのシリーズと言えば、「御宿かわせみ」で三十冊近くあると思う。一応全巻読んだように私の記録にはあるが、その後の最新刊があるかもしれないし、内容を全部覚えていない。

この話は、短い短編で構成されていて、下記の八編の各々が素晴らしい。

虹のおもかげ
笹舟流し
迷子の鶏
月夜の雁
狸穴坂の医者
冬の海
源太郎の初恋
立春大吉


主人公東吾友人の嫡男、“源太郎の初恋”がテーマに書かれた七編目がこの本のタイトルにもなっている。

平岩弓枝さんの本自体が、暖かい読み物になっているし、「御宿かわせみ」は殺伐とした時代小説とは一線を画し、ホームドラマ的なゆとりが端々に感じられる良い本です。
ほとんどの登場人物は好人物で、兄弟愛、師弟愛、人間愛、限りない愛情を感じさせる読み物です。

犯罪者にも情をかけたくなるほどに、心豊かな内容なのですが、今回の中で六編目の“冬の海”だけは寂しかった。淡々とした調子で語られる哀れな人生は、不幸なるもののイメージを増幅する。
東吾の妻・るいの散歩に、いつも行き会う女の人生が語られる。
彼女はいつも遠い海を見つめ続ける不思議な女です。

常陸の生まれで、幼い頃に身売りをされ、江戸に出てくる。
吉原に売られて、新造の見習いとなる。
長く細いしなやかな指を持つが故に、身請けをされる。
身請けをした掏摸の親分に仕込まれ、妾もどきの生活をする。
十七で、掏摸の親分の子を産む。
掏摸の親分は捕まって獄死をする。
大工の棟梁に金を添えて、子供を堅気に育てる。
その金のために、木更津の女郎屋に自分は身売りをする。
倅は母を苦界から救うために、悪の道に走り島流しになる。
十年の年季を勤めてあげて出てきた女は、倅が島流しになっていたことを知る。
女は掏摸をまた始め、倅に会いに行く金を貯める。
しかし手っ取り早く、役人の前で掏摸をしてわざと捕まり、島流しになる。
女が島流しになる日の二日前に、倅の死を知る。
倅は島で流行病にかかって、すでに死んでいた。
話を聞いても、女は「倅の墓参りに行く」という。


こんな哀しい身の上話が語られている。
今の現代にはあり得ない事ではなかろうか?
それでも子供は親に甘えすぎているし、親は子供に責任を持たなすぎる。
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