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あ~あ、読了までの長かった本。

  • 2007/09/14(金) 09:09:34

<派手で鯔背な纏持ちが雰囲気出している表紙>
20070912201406.jpg

人気作家、山本一力著『まとい大名』。
この本の題名になっている“まとい大名”って言葉は、決して纏を担いだ大名のことではない。
「よっ、御大」「・・・大将」みたいな褒めるときの讃辞に書ける言葉で、“纏を持ったらあんたが一番の人”くらいの意味ではなかろうか?

とにかく読み終わるのに時間がかかった。火消しのかしらの二世代を書いた力作長篇で、話が濃かった。徳川八代将軍の吉宗の御代に、深川にあった火消し宿の頭が主人公です。

この本には泣かされた。いつも鼻をじくじくいわせてるか、鼻水をすすっているか、或いは本格的に泣いているかで終わった。
人の持つ心情にぐっと訴えてくる筆者の上手な筆致が、いつも心が捕まれて弱ってしまった涙腺を刺激してくれる。

「火てえものは、ひとが生きていくための大事なもとだ」
「そんなでえじな火を、退治するのがおれたちの稼業だ」
「でえじな火に嫌われねえように、火の神様に詫びを言いながら火を退治するんだ」

本文最初のところで、かしらの徳太郎の思い入れを会話で書いた文章だ。

最終章にも同様な表現が出てくる。

火がなければ、闇を切り裂くことはできない。モノの煮炊きにも、火が入用だ。
炎のぬくもりは、真冬のなによりのご馳走である。
毎日息災に生きていられるのも、火があればこそだった。その大事な火を、いまはひたすら消そうとしている。
火がわるさをしているわけじゃねえ。うかつに火を扱って、ひどいしくじりをおかすのは、ひとのほうだ。


この本を通して、テーマはこの一事に尽きるように思われます。火を手軽に手に入れることの出来る現在の人とは違って、昔の人は火を熾すことさえ難しかった。またそれ故に、管理も大切で、火そのものを大事に大事にし、“火の神様”と崇めてもいる。
今の人に“・・・の神様”といった物事を崇拝する健気な気持ちは少ないだろう。


江戸の昔、人々の賞賛を浴びた火消し稼業の素晴らしさが見事に描かれている。
ただ私はひねくれ者で、人の上に立つ器量も意気地もなかったので、この様なヒーローが、常に人の憧れを浴びている人物が嫌いである。

それからこの本の読了に時間がかかった理由の一つは、深川の土地である。田舎の人間には、事細かに書かれた場所を理解するために、何度も地図を広げてみた。土地勘がないことが、作品の内容を理解するのに時間を必要としたわけです。
それだけしても価値のある作品でした。
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