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「鴉婆(からすばば)」の次は、「山姥(やまんば)」

  • 2007/12/25(火) 19:18:56

<表紙絵は本のタイトル通り、奇想の画家長澤蘆雪の「山姥図」>
本sawadayamanba

澤田ふじ子著『山姥の夜』、副題は「足引き寺閻魔帳」。
あとがきによると「足引き寺閻魔帳」シリーズも第六作目になる。

一作目 足引き寺閻魔帳
二作目 女狐の罠
三作目 聖護院の仇討
四作目 嵐山殺景
五作目 悪の梯子 


どれをとっても勧善懲悪、懲らしめが効いてて面白い。しかもその行為にはそこはかとなく、仏法に乗っ取ったような慈悲があり、殺伐とした冷たさがない。
澤田ふじ子作品を読み始めた最初の頃に感じていた、京都弁の長々しいやりとりにも慣れ、味わい深いその表現と調子が身についてくると、これはこれで実に面白い。かぶれやすい体質の私はいつしか些細なことは京都弁を真似して使ってみることにしている。問題は音で聞いているわけではないので、アクセントがしっくり行かないことであります。

あとがきには、“ライブドアの粉飾決算事件”、“マンションの強度偽装事件”、“防衛施設庁発注工事の談合事件”等々比較的最近のニュースが語られているので、作品自体が新しい。
なかでも、

物語はわたしが作っているというより、いまの社会や俗世が造形させているといってもいい。
わたしは<時代物>の衣装を着せ、いまを書いているつもりだからである。


ちょっとした名言といっても良いのではないだろうか・・・・
小説の中ではかなり難しい字を漢字でお使いになる澤田ふじ子さんではあるが、このあとがきには常に平易なひらがなを多用されるのも面白い。

第一話 夜寒の賊
第二話 鬼 畜
第三話 菩薩の棺(ひつぎ)
第四話 無間(むけん)の茶碗
第五話 闇の扇
第六話 山姥(やまんば)の夜


話のつながらない短編六話で構成されており、本題の「山姥(やまんば)の夜」は第六話に納められている。足引き寺に飼われている利口な犬“豪”が、くわえて戻ってきた人間の片腕から話が解きほぐされていくのだが、昔渡辺綱が鬼の片腕を切り落とした話になぞらえて、山姥が出てくる所が実に妙技であります。

何はともあれ、作者さんの深い愛情と細かな洞察力が作品に人間の血を通わせていると感じます。
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