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俳句を上手に散らして、捕物帳とは名人芸ものです。

  • 2008/01/02(水) 08:04:59

<とりあえず一句、「シャレた絵を 粋なデザイン カバーにし」>
本sasazawaissa

笹沢左保著『一茶人情捕物帳』、副題が「涙の弥次郎兵衛」。
今年最初に読み終えた本が、この本だった。リストを調べると一度は読んではいたが、内容は例によって余り覚えていなかった。再読したり、或いはこの様に何か記録を残すと、案外記憶に残るようだ。

笹沢左保さんほどの作家ともなれば、やはり名人芸と言える仕上がりだなと感心した。
この本は俳人小林一茶の若い頃を、そしてその見事な灰色の頭脳を使った推理力を上手に捕物帳となさっている。
推理小説で言うところの“アームチェア‐ディテクティブ【armchair detective】”でありまして、現場にも行くことがあるが、ほとんどは一茶の頭の冴えで解決されてしまう。しかもこの人物が涙もろい人情かとして書かれてあるため、副題は「涙の弥次郎兵衛」となっている。

名人芸の名人芸たる所以は沢山あるのだが、一番の魅力は短い捕物帳の短編の一編一遍に一茶自身の俳句が上手に配されていて、またそれが見事に生きている。
もしかすると俳句を眺めつつ、或いは口に読みながら、そこから物語をふくらませてお作りになられたのではないでしょうか。

<またもや駄句を「裏表紙 謎は季節と 解きにけり」>
本sasazawaissa02

目次の各章の小題と、裏表紙の俳句の並び数とその内容が符合する。

第一話 女は触れ歩く
第二話 蛍が見ていた
第三話 美しき娘の肌
第四話 名月に鬼の面
第五話 秋の夜の盗賊
第六話 黙って通る人
第七話 怒りの年の市


裏表紙に書かれた俳句は、各章の最後にも書かれている。

隙人(ひまじん)や蚊がでたでたと触れ歩く
狐(みなしご)の我は光らぬ蛍かな
蚤の迹(あと)それもわかきはうつくしき
名月を取ってくれろと泣く子哉
秋の夜や旅の男の針仕事
夜の雪だまって通る人もあり
年の市何しに出たと人のいふ


巧みに俳句を散らした上に、実に情緒深く季節が書かれている。遅き春、初夏から夏を経て、年の市まで季語を大切にする俳句の季節感を上手に、小説の中で語る。
これも名人芸でしょう。
しかもそれらはあたかも江戸の町にトリップさせられた、読者が感じることの出来る優しくも繊細な日本人の季節感なのです。

それから深川という江戸の外れが中心のお話でありまして、時代小説としても、庶民の暮らしにも、事件の起こりそうな大河端という点でも地の利がいい。
昨年見てきた深川だからいうのではありませんが、この地はとても時代小説の似合うところでもあります。本所、深川いろんな町名が馴染み深い。

江戸庶民の暮らし、歳時記、季節の移り変わりが見事に活写されている。
寺子屋へ通う時の束脩から、風呂屋の銭湯賃、節句の細々、たばこや喫煙具の話、数え上げたらきりないほどの蘊蓄話は、さりげなく江戸情緒、雰囲気を盛り上げてくださることと、小説がふくらんでくる要因でした。
でもそのことがちょっとさわってくるのは、第五話「秋の夜の盗賊」。
ダイイング・メッセージとして使われる“くろふ”という言葉が、知っている人にはすぐとけてしまいます。厳密な推理小説ではないのでご愛敬かも・・・・

久々に覚え書きを・・・
たばこ、キセル、羅宇・・・外来語は外来語である。
たばこ---ポルトガル語。多婆古、丹波粉→煙草。
キセル---カンボジア語のパイプという意味「クシエル」から転じた。喜世留、希施婁→煙管。
羅宇---ラオ(ラオス)のこと、ラオス産の黒い斑(まだら)入りの竹。老楇(らお)→羅宇(らう)
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