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わけてもこのシリーズ本が好きであります。

  • 2008/01/17(木) 12:58:42

<被衣(かずき)をかぶる女官の妙に色っぽい姿が美しい村上豊さんの表紙絵>
本sawadakitsunekanjo

澤田ふじ子著『狐官女』、副題は「土御門家陰陽事件簿」。
表紙絵はいつも味わいを感じる村上豊さんですが、この本のタイトル通り、妖しげな色気を振りまく女が書かれています。黒沢映画に出てくるような被衣(かずき)をかぶる姿は、コミカルな絵の多い、村上さんには珍しい色気を感じさせます。
本文の中に、何カ所かこの被りものに関する表現があるくらい美しいものとして語られています。

<御小袖かずき>といわれる華麗な被衣(かずき)をかぶり、半ば公然と外出する女官もいた。
彼女たちが、目も覚めるような裂地に刺繍まで施された美しい被衣(かずき)をかぶり・・・(後略)


前に読んだ同シリーズの『鴉婆』の続きとおぼしき作品です。内容も繋がります。
中身は陰陽師の支配、土御門家に使える譜代衆・笠松平九郎が主人公となった物語なのですが、今回はちょっと趣向は違っていました。前回の『鴉婆』の時にも、七編の短編の繋がりが一本の長篇になっていたように、今回も同様なパターンではあります。

因業な髪
闇の言葉
奇端の鞠
狐官女
吉凶第九十一段
畜生塚の女
浄衣の仇討


各々話の繋がりは余り感じられませんが、今回登場する小藤左兵衞が見事な役柄で、随所にきらりと感じさせる逸話が設けられています。
この主人公を喰っている小藤左兵衞は、薄汚い五条・鍛治屋町の長屋で貧乏暮らし。そして年少の他人の女の子を預かり育てている。貧しくともさして物事に拘ったりせず、のんびりと暮らし、古文書、和歌、文学に通じ、礼節を知り、博学で、仙人のような高潔な浪人であります。自ら致仕して浪人暮らしをしているのだが、人間を見る目と達観した人生観が彼の暮らしに精神的豊かさを感じさせます。

この彼が生育している女の子も、他人のしかも敵討ちに出かける男に託された子供で、謂わば縁もゆかりも薄いのだけれど、託す方も託される方も篤い信頼がなければ出来ないものですし、またこの子供が実に賢く、恩義を忘れぬ暖かい子供で魅力的です。

とにかく登場人物に慈悲の心が深く、他人との交流にも、相手に優しく思いやりで包み込んでしまう豊かさが読んでいく人々に感銘を与える。
澤田ふじ子作品を読み始め当初に感じていた、京都人の掛け合い漫才みたいな、相手の揚げ足を取ったり非難合戦の如き会話にも慣れて、いまでは聞き慣れた会話のような耳に心地よいものになっています。
また該博なありとあらゆる知識には驚嘆いたします。主人公らがそれとなく話して聞かせる逸話や、物語、京の町の名の由来、御所の女官の官位や仕組みそして中身はなど、まさに著作者の知識の披見であります。
これもまた見事なものであります。

最後にこの本も、「鴉婆」と同様に、金文字で書かれたタイトル文字『狐官女』のフォントが良い。
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